PLAY〜アイドルイメージビデオレビュー〜【Reprise】

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仲根かすみ/in尾道 もういちど逢いたい/キングレコード/31分/2002年4月24日発売

 

仲根かすみ in 尾道 [DVD]

【DATA】仲根かすみ/D-Splash もういちど逢いたい/キングレコード/31分/2002年4月24日発売

【キャッチコピー】「映画」「ドラマ」はそんなに偉いのか?!

【レビュー】

 尾道が舞台の、「エコエコアザラク」の監督および岩井俊二作品の撮影監督を起用したというドラマ色・映画色の強い作品である。
 
尾道と言えば大林宣彦作品、ということで「高台に佇む青年のモノローグ」から始まるところは「いかにも」な感じだが、冒頭で海岸を歩くかすみをクレーンで撮ったショットには軽い驚きを覚えた。
 
非常に静かな展開のVで、男の俳優が出てくるものの井川遥「nostargia」(ポニーキャニオン)よりもずっと控え目で(私的には)さほど気にならなかった
 
かすみは台詞無し、喫茶店での一人芝居のようなイメージシーンもあってなかなか印象的。私は大林映画をほとんど観たことがないので理解に乏しいが、登場する石段や喫茶店、狭い路地や学校などはあの「三部作」にも出てきたものなのだろう(オマージュということか?)。
 
「大林的」ファクターでノスタルジーを喚起させる演出にはいささか安易な印象を受ける(そもそもアート=映画人を起用、という発想自体が安易なんだけど)が、こうした叙情的な演出は英知Vにも通じるし、「温泉に白ビキニ」のシーンは時間も5分と長く、画質もクリアーで良かった。
 
ただ、この流れでビキニはちょっと唐突、というか変じゃないか?と感じた。むしろヌードの方が自然じゃないかと(笑)。結果的にイメージVとして機能している点については評価したいが、この内容では、ファン以外の一般ユーザー(私もその一人)が付き合うにはちょっと辛いだろう。
 
水着は少ないとかドラマとか言う以前に、アイドルイメージビデオとして正直弱いと思う。いくら映画人をスタッフに起用したからといっても結局は「映画風味」でしかないし、また「仲根かすみ本人」の介入する余地が皆無なので「キレイ目な映像の羅列」の域を出ないのだ。
 
ドラマそのものがかすみの魅力を引き立てているとは思うので、イメージVの「素材」として使うなら大いに有効なのだが…。
 
例えばトータルタイムは45~50分、これらの映像と水着シーンの対比を半々にして、あとはポニキャンVのような「考えさせるインタビュー」(※私の拙文・中越典子「モア」レビュー参照)を2~3分×2・3回程度挿入する。これならイメージVとして真っ当な内容になるだろう。
 
着衣のシーンが多くても間に水着ショットを効果的に挟むことで逆にインパクトが強くなる場合も多々あるし、かすみ本人のキャラ次第ではより弾けた内容になったかもしれない。
 
前作「夏を探して…」もそうだが、仲根かすみは何故こうも煮え切らないVが続くのか。最大のネックは(言うまでもないことだが)「事務所サイド・スタッフサイドの思惑」だろう。
 
そしてこうしたVをリリースし続ける彼らの意図の先にあるのが「井川遥」なのは間違いない。
はじめは水着グラビア→アートな作品で評価される→インテリジェンスな番組に出演→井川遥的ステータスを築く…という魂胆が見え見えなのだ(そう言えば本作の「温泉白ビキニ」も「月刊井川遥」でメジャーになった?手法だった。
 
ただし、かすみには遥のようなエロさを内在していないので、いくら模倣しても似て非なるモノにしかならない)。
もちろん売れてナンボの世界、そのための戦略も大いに結構だが、もう少しスマートにいかないものか。
かすみ自身も他のVでは水着仕事をさほど嫌がらずにやっているし、「やれと言われればやる」人だろうと思う。
そこにツマラナイ「大人の論理」や「業界の常識」が「壁」を作ってしまう。そういう「出し惜しみ」がいかにタレントの可能性を潰しているか、いい加減気付いてほしいのだが…(今やタレントとして確固たる地位を得ている優香はイメージV4本・写真集4冊出す間グラビアアイドルとして一歩も引かなかったではないか)。
 
仲根かすみを女優にさせたいのなら、それに水着グラビアにプライドを持てないのなら、初めからやらせなければいいだけのこと。
素質が有るのなら、アイドル仕事なんてやらなくてもドラマや映画のオファーなんかいくらでも来るでしょうから。
要らぬ不信感を与えないためにも、事務所やメーカーはもっと潔さを持って仕事に取り組んでもらいたい(それにこの内容ならば「D-Splash!」の看板は外すべきだろう)。
 
前述したように、改善すべき点を修正すれば充分機能する作品だと思うので「ドラマもの」を頭から否定する気はない。ただ「映画・ドラマ>アイドルイメージV」という誤った常識、言い換えれば「幻想」がうざったいだけなのだ。
 
本作はユーザーにはもちろん、メーカーやタレントにもメリットの少ない(本人やスタッフの充実感は別として)不幸な作品だと思います。
 
PS.小ネタを一つ…喫茶店でのシーンでかすみが着ていたTシャツをカスタマイズしたタンクトップ、これってモー娘。吉澤ひとみが写真集で着ていたのと同じものでした。

(※このレビューは2009年以前に執筆したものです。)

【主な流れ】

尾道。男が高台に佇み街を見下ろす。

海岸を歩く白ノースリーブにスカート、ショールを纏ったかすみ。

寺の境内。石段に男~かすみ。喫茶店で働くかすみ(タンクトップ&短パン)、無言で一人芝居。

露天風呂?に白ビキニで入るかすみ。

路地を歩く男~かすみ~出会う二人。

かすみ、校庭~教室に佇む。高台の男~夜明け?─エンドロール。

【評価】☆☆☆

【レビュアー】vibeon!