【コラム_1】はじめての出会い 寺尾友美『Pichi-Pachi』(2001/05/28)
僕が初めてアイドルビデオを買ったのはいつだろう? と思い出してみた。
あれはまだ僕がまだ高校生の頃だ。その当時、ウチでは犬を飼っていて、よく散歩に連れていった。
しかしその頃は犬の散歩がひどく億劫で、仕方なく犬の散歩をしていたという感じだった。
なので、散歩をしながら他の楽しみを見つけるようにしていた。
例えば燃えるゴミの日の前の日に、捨ててあるエロ本を物色したり、好きな女の子の家の近くを散歩してみたり……。
コンビニに行ってよく立ち読みもした。
あまり長い間立ち読みをしていると愛犬が吠え出してしまうので、いつからかマンガの立ち読みはしなくなり、『スコラ』や『GORO』など、男性誌のグラビアだけをチェックするようになっていた。
ある日、いつものように愛犬の散歩に出かけて立ち寄ったコンビニに、一本のビデオが置いてあった。
タイトルは寺尾友美の『pichi-pachi(ピチ・パチ)』。当時の男性誌でギリギリヌードを披露していた寺尾友美は、僕のお気に入りのアイドルの一人だった。
八重歯がすごく印象的で、目がクリっとしていて、それでいてEカップのバストを持つナイスバディ。
そんな彼女の1stビデオが、コンビニの本棚の一角に置かれていた。
僕はそれを見てすごく興奮したのを覚えている。 はっきり言って、テレビの中で動き回る寺尾友美をほとんど見たことがなかった。
一応歌手としてはデビューしていたので、その頃はテレビにも出ていたのかもしれないが、グラビア展開をしてからはテレビの中で見ることはなかったような覚えがある。
「動く寺尾友美がみたい……」 僕はそのビデオを手に取り、ジャケットの表裏を何度も確認し、その日はその場を後にした。
ビデオをコンビニで見かけた次の日。
僕はビデオの代金2300円を持って、同じコンビニに向かった。深夜の誰もいない時間を見計らって買いに来たのだ。
大学生らしきコンビニのバイトさんに寺尾友美の挑発的なビデオジャケットを手渡すときは本当に緊張して、手に汗がにじんだ。顔から火が出そうだった。
しかし、お金も無事に支払い、ビデオを手に入れた時の喜びと言ったらなかった。おそらく愛犬は何をそんなに喜んでいるのだろう、と不思議がっていただろう。
僕ははやる気持ちを抑えながらも、一目散に家へと戻った。
その夜。誰もいない部屋で、僕はこっそりとビデオを再生した。
ブラウン管の向こうから、寺尾友美が僕だけに微笑みかけてくれる。
あのかわいい八重歯をちょこっと見せながら。ビデオの内容はまったく素晴らしいの一言だった。
ノーブラでのお目覚めシーンや、ソーセージをおいしそうにほおばるシーン。
そして眩しいビキニの数々。どれもこれも、当時の僕の想像力をかき立てるのには十分すぎる程だった。
そしてクライマックス。ノーブラで短めのタンクトップ&パンティという格好でのあの挑発ポーズ。
僕は力が抜けるほど興奮した。
それからというもの、僕は暇さえあればこのビデオを見ていた。
テープがすり切れるほど見た。アダルトビデオそっちのけで見ていた。
そしていつしか、アイドルビデオの魅力に取り憑かれていたのだ。
それから4年ほど経って、家の引っ越しをすることになった。その時に何を血迷ったのか、寺尾友美のビデオを処分をしてしまったのだった。
ものすごく後悔したが、いずれ捨てなければならないとは思っていたので、これでよかったのかとも思った。
あれから10年の月日が流れた。なぜかまた僕はこの寺尾友美のビデオを見ている。
今年になって、また手に入れたのだった。
そこには全く色褪せない寺尾友美がいた。 この10年間、様々なアイドルのビデオを見てきたが、僕の中でこの寺尾友美のイメージビデオを越える作品は未だかつてない。
まあそれは単なるノスタルジィに過ぎないと思うが……。
【掲載日】2001/05/28
【執筆】PLAY